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藤井隆史准教授・綾野克紀教授が一般社団法人セメント協会論文賞を受賞しました

受賞学会・受賞名(論文賞等):一般社団法人セメント協会 論文賞
受賞論文:高炉スラグ微粉末およびフライアッシュが高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの凍結融解抵抗性に与える影響
受賞者名:環境生命科学研究科 藤井隆史准教授、綾野克紀教授
受賞理由:
 凍結防止剤が散布される積雪寒冷地域においては、凍結融解作用によるコンクリートの劣化が著しく、道路橋コンクリート床版など、大規模な更新が必要とされるコンクリート部材が増えている。供用中の道路橋床版の取替え工事等においては、交通規制の短縮化をはかる必要もあるため、プレキャストコンクリート製品が用いられる場合も多い。また、新設のコンクリート工事においても、生産性向上を目指す目的で品質の確かなプレキャストコンクリート製品の活用が議論されている。耐凍害性を確保するためには、AE剤によって微細な気泡を連行することが一般的である。しかし、製造効率を高めるために蒸気によって養生が行われるプレキャスト製品においては、過度な蒸気養生によって、その効果が得られない場合がある。プレキャスト部材の製造においては、耐凍害性を担保するために、AE剤の効果が現れるよう、前置き養生期間と蒸気温度の管理がとくに重要であった。
 高炉スラグは、製鉄所での銑鉄製錬の際に発生する副産物である。高炉水砕スラグは、高炉から生成する溶融スラグに多量の加圧水を噴射することにより急冷固化させたガラス質のスラグで、約70%がセメント原料に用いられている。本論文では、非晶質で反応性のある高炉水砕スラグを細骨材に用いれば、粗骨材とモルタルとの界面に水酸化カルシウムが析出しにくくなり、AE剤を用いることなく高い耐凍害性が得られることを示している。さらに、高炉スラグ細骨材に組み合わせて、結合材の一部に高炉スラグ微粉末を用いれば、AE剤を用いなくても、より耐凍害性が向上すること、反対に、フライアッシュを結合材の一部に用いれば、その使用量が増えるほど、高炉スラグ細骨材の効果が失われることを、数多くの詳細な実験から示している。
 本論文は、高炉スラグ細骨材を用いれば、コンクリートの耐久性を向上させることができることを示したもので、高耐久なコンクリート構造物の施工に大きく貢献するものである。この成果が蒸気養生を行うプレキャスト製品に適用されれば、耐凍害性に対してより信頼性の高い製品の製造が可能となる。また、これまで微粉末としてセメントの代替と有効利用されることの多かった高炉スラグの新たな活用を示したものであり、今後さらなる発展が期待される。